ランキングは固定的なものではない

ジャーナルのランキングは、特に新しいタイトルにおいて、時間の経過とともに変化します。そのため、四分位ランキングは、ジャーナルの質や長期的な影響力を示す恒久的な指標ではありません。 

ランキングの変動性を検証するために、2019年から2023年の間にJournal Citation Reports(JCR)に新たに追加されたシュプリンガーネイチャーのジャーナル86誌11を対象に分析を行いました。これらのうち、初めはQ3・Q4に分類されていた、あるいはランキングが未設定だった80誌が、2023年版ではいずれもランキングを取得しており、そのうち40誌はQ1またはQ2に昇格しています。この傾向は、特に専門分野や新興領域を支える新しいジャーナルが影響力を築くには時間がかかること、そして数年のうちにインパクトや可視性を高める可能性があることを示して います。

11 SpringerとBMCのインプリントを含む。すべてのNature Portfolioのタイトルは除外。

ケーススタディ

Ornithology Research 

Ornithology Research は、ジャーナルのランキングがわずか数年で変化し得ることを示す好例です。2013年に Revista Brasileira de Ornitologia の名称で創刊され、2020年に Springer に移管された際に元のインパクトファクターを失いました。2020年のJCRではQ4に分類されましたが、2021年にはすでにQ2に昇格し、2023年には特に重要な論文の影響によりQ1に到達しました(図2)。このような急速な変化は、ジャーナルがさまざまな要因によって比較的短期間でランキングを移動する可能性があることを示しています。

図2: Ornithology Research のJCR四分位ランキング(2020~2023年)

JCR評価年 

2020

2021

2022

2023

四分位ランキング 

Q4

Q2

Q2

Q1

Sandra Hartz 氏は、Ornithology Research誌が新たに形成されつつある研究者コミュニティーを支えるうえで果たしている重要な役割を強調しています:

「このジャーナルは学会と連携しているため、ネオトロピカル地域の鳥類に関する最新の知見を発信しており、近年ではグローバルな研究、特にグローバル・サウスで行われた科学研究も取り上げています」

Sandra Maria Hartz

Ornithology Research 編集長

Ornithology Research のような新興またはニッチなジャーナルは、専門性の高い研究コミュニティーにおいて重要な役割を果たしており、新たな研究領域の発展や、多様な学術的な声の発信を支えるプラットフォームとなっています。これらのジャーナルは、新しい分野や手法の発展を促すハブとして機能することも少なくありません。

JIFや四分位ランキングは、ジャーナルの質や長期的な影響力を示す固定的な指標として捉えるべきではありません。