付録:方法論


JIFを超えたインパクトの実証を目的として、SpringerおよびBMCのジャーナルを四分位別に分類し、地域別の読者傾向を含む利用動向を分析しました。方法論の構成は以下の通りです。
データソースと選定基準
JCR分析
2024年6月に公開された2023年版Journal Citation Reports(JCR)を分析しています。JCRは、JIFに基づき、ジャーナルをQ1からQ4の四分位に分類しています。本分析では、ジャーナルがJCRに初めて掲載された際のランキングと、その後5年間の推移を追跡し、学術的インパクトの傾向を明らかにしています。また、JCRでランキングが未設定のジャーナルや、JIFが付与されていないジャーナルも分析対象に含めています。
ジャーナルのインプリント
本分析では、JCRに掲載されているSpringerおよびBMCのジャーナルのみを対象とし、一貫した評価枠組みを確保しました。 Nature Portfolioジャーナルは、JIFにおいて極端な値を示す傾向があるため、分析対象から除外しています。
利用指標
COUNTER 5準拠:ジャーナルの利用状況を正確に把握するため、本分析ではCOUNTER 5に準拠した指標を使用しています:
総アイテムリクエスト数
分析期間中にHTMLやPDFなど、さまざまな形式で全文(フルテキスト)がリクエストされた件数を集計した指標
ライセンスアクセス試行数
ユーザーが所属機関において、アクセス権を持たないコンテンツに対しアクセスを試みた際に発生した拒否件数。
比較分析
四分位比較:
Q1およびQ2ジャーナルとQ3およびQ4ジャーナルの利用指標を比較し、読者のエンゲージメントにおける違いや共通点を明らかにしています。
ジャーナル全体の利用状況の比較
四分位別のジャーナル利用データを、SpringerおよびBMCが提供する全ジャーナルの利用指標と比較することで、今回得られた知見を学術出版全体の動向の中に位置づけています。
分析期間
2019年から2023年までのジャーナル利用データを対象としました。5年間と設定することで、特にQ3およびQ4ジャーナルがどのように活用されてきたかに焦点を当てながら、読者層やエンゲージメントの傾向を詳しく調査することが可能となります。
分野別分析
ジャーナルの利用状況を主題分野ごとに分類し、Q3およびQ4ジャーナルが重要な役割を果たしているニッチな領域を特定することで、特定分野におけるそれらの意義を明らかにしています。